弁護士北薗のBlog

2017.05.08更新

1 勤務弁護士より、後見に関する研修のテーマについて、何が良いかと聞かれたので、

①相続の前哨戦型の後見申立で「後見人」は、推定相続人からの調査要求に対し、どこまで調査をすべきか

②障がい者の子の為に、「民事信託」と「後見申立」のいずれを選択すべきか

③後見相当の人について、専門職を後見人候補者とする後見申立を促し、かつ業務として「ペイ」するためにはどうしたらいいか

の3点を挙げました。

2 ①について

(1)相続の前哨戦型については、現在手持ちの案件をみると、本庁及び松阪・伊勢・尾鷲・伊賀等、全ての支部の案件で問題となっています。

ア)使途不明金の返還請求、イ)使途不明金の存否(相続開始時の特別受益)確認要求、ウ)財産調査要求が、裁判所はともかく、被後見人の親族(推定相続人)から後見人に対してなされることがあります。

(2)被後見人の親族からの要求については、これに応じない場合、後見人・裁判所への不服申立につながる可能性があります。もっとも、身上監護をしている親族に対する、他方親族からの調査要求については、調査対象とされた親族による身上監護の協力が得にくくなり、後見人の首を絞める(身上監護に関する仕事の負担が増える)ことになる可能性もあります。

(3)使途不明金が唯一の推定相続人のところで発生している可能性があるものの、当該推定相続人が身上監護をしっかり担っている場合、(2)の視点も踏まえて、調査の実益がどの程度あるのかと、ふと考えることがあります。

3 ②③について

障がい者入所施設から、全ての入所者に後見人を選任してもらいたいという声を聞くことがあります。また、実際に、後見人が選任されていることが入所の条件になっている施設もあると聞きます。

施設入所者複数人につき、合わせて一人の専門職を後見人として後見申立をする場合には、身上監護面の大部分を施設が担って下さるので、「ペイ」するのではないか、とも思います。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.05.03更新

1 私が破産管財人として管理している収益物件について、抵当権設定者より、物上代位による賃料差押えがされることが判明しました。そこで、固定資産税を破産財団に負担させないために、賃料債権の発生している収益物件について、賃料債権の財団放棄をしました。

2 物上代位による賃料差押えがなされた場合の執行手続は、差押え債権者が賃料を回収するのみですので、当然、賃料から当該収益物件の固定資産税の支払がなされることはありません。

そのため、収益物件の所有者は、固定資産税その他の維持費を賃料以外から捻出しなければならず、当該物件を維持管理する意欲を喪失してしまい、当該物件の管理状況が悪化してしまうことがあります。

3 管理状況の悪化は、空室の増加を招きかねません。管理状況の悪化や空室の増加により、結局は抵当権者の債権回収が困難になるおそれがあります。

4 このようなおそれを避けるため、抵当権者は、対策として、収益執行の申立をすることもあります。

収益執行の場合、執行手続きの中で、(債権者への配当の前に)固定資産税の支払も行われることになります。

5 また、収益執行の場合、収益物件の管理権限や賃借する権限を、裁判所より選任される収益執行管理人が有することになるため、管理状況の悪化を防止することができます。

6 収益執行の申立は、物上代位をした物件に対して、重複して行うことも可能です。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.04.21更新

1 津市の三重県総合文化センターで、「東海税理士協同組合津地域事業部」主催の税理士会の「研修会」で講演をしてきました。

2 題名は、『裁判所が選任する「財産」の管理人』でした。

3 破産管財人、成年後見人、相続財産管理人(相続人不存在)の業務について、①費用、②事件の流れ、③必要書類、の一般論をお話ししました。

4 税理士の先生方が対象でしたので、「関与先」との関わり方で興味がおありだろうと思われる以下のお話しも付け加えました。

①換価の仕方として、税理士の先生の関与先が不動産や機械を購入する時に、①何時、②誰に申し出たらよいか(申立代理人弁護士や破産管財人への申し出の方法・タイミング)等。

②償却書類の取り付け方として、ア)廃止通知書は破産管財人から送られるか否か、イ)「配当なき証明書」の申し出方法、ウ)ア、イを義務として速やかに行わない破産管財人への対処方法等。

③その他として、申立の遅い申立代理人や破産管財業務の遅滞した破産管財人へのクレームの言い方、クレームにあたり効果的な方法(管財の業務報告書の取り付け方、報告内容への業務遅滞に関するつっこみの入れ方)等。

5 成年後見人と相続財産管理人については、破産管財人との対比で少しお話ししました。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.03.22更新

1 相続人の行方が不明であるという相続案件がいくつかありました。

①住民票をたどっていって判明した例もありますし、②三重県から他府県に転出して行方不明の方もいます。③伊賀市から三重県内の他の市町村へ転出届がなされた後、行方不明であるという方もいます。

相続人の行方が不明の場合、不在者財産管理人選任申立をすることになります。

他の弁護士に依頼されて、①ないし③と同様の事案で不在者財産管理人に選任されたこともあります。

2 相続財産の不動産について、相続人の誰も利用しないために、換価分割とするということが多くなりました。

相続人の希望があれば、不動産売却のために不動産業者と相続人を繋ぐ(売却支援)作業もしております。

破産管財人として、破産財団に属する不動産の任意売却を多数行っているため、三重県内の不動産業者(とりわけ、津、松阪、伊賀、名張方面)の不動産業者とは面識があります。

現在は、津市、伊勢市等にて、換価分割の為、不動産業者に依頼しています。

売却の立会いの支援、相続人への配分等、税務申告支援等を行っています。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.03.14更新

「決済に同席させて頂いた感想」(※は私のコメント)

 

三重県(津)の修習生である私は、今回、破産財団不動産の任意売却の決済に同席させて頂きました。

決済が行われる前には、決済の場で行われる法律行為について先生から指導を受けました(※1)。私は、最初、見落としていた法律行為があったので、まだまだ自分自身が勉強不足であることを思い知らされると共に、これからの司法修習ではより法律行為を意識していこうと思いました(※2)。

決済の現場では、破産管財人である北薗先生、破産者(※3)、不動産の仲介業者、抵当権者及び司法書士の先生という多数人であったにもかかわらず、スムーズに売買契約書等の署名押印が行われていました。また、北薗先生は破産者(※3)の質問に対して丁寧に回答されていました。

私は、今回のような決済をみることは初めてだったので、とても勉強になりました(※4)。

三重県で破産事件を多数受任されている北薗先生は、お忙しい中、修習担当弁護士でないにもかかわらず、修習中の私を受け入れて下さり、とても感謝しています。

先生の下で得られた貴重な経験をいかしていけるように、これからも勉強していきたいと思います。

 

※1 例年、本件決済でどのような法律行為(契約)がなされるかを確認している。事前確認では、抵当権者と司法書士との抹消登記手続の為の委任契約を見落としていた。

※2 法律要件事実の意識も必要です。

※3 (1)破産者は出席していない。買主を破産者と誤認したと思われる。通常決済の場に破産者が同席することは無い。

(2)出席者の表現としては、売主、買主、抵当権者(第1順位、第2順位)、司法書士、仲介業者、が正しい。

※4 通常の売買と異なり、破産管財人が売主として破産財団の不動産を売却する場合、登記必要書類が異なります。①どう異なるのか、②なぜ異なるのか(必要書類の根拠条文)まで勉強することが必要です。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.03.13更新

1 三重(津)修習の司法修習生が、出向で当事務所に来ることになった。指導担当弁護士は、私と前所属事務所で一緒だった後、松阪市で独立した弁護士である。

2 配属先の法律事務所に、現在破産管財事件が無いとのことで、主に、破産管財事件を勉強するために出向してくることになった。

3 出向中の予定は以下のとおり。

(1)月曜日 ①(成年後見事件)成年被後見人が加入している生命保険に関し保険会社との打合せに同行してもらう、②(破産管財事件)財団放棄後の財産につき清算人として調停(松阪支部)に関与する事案に同行してもらう。

(2)火曜日 破産財団不動産の任意売却(物件所在地の管轄:伊賀支部)の決済の立会い(特徴は後順位抵当権者が購入者である点)。

(3)水曜日 ①破産財団不動産の任意売却(物件所在地の管轄:伊勢支部)の決済の立会い(特徴は、抵当権の一部移転がされており、今回の売却により一部移転前の抵当権者の被担保債権が完済されることになったため、一部移転を全部移転にするについていかなる登記が必要かの検討を要する点。)、②債権者集会(続行期日)に同席。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.02.28更新

「決済に同席させて頂いた感想」(※下線部は私のコメント)

 

今回は、私は、北薗先生が破産管財人をされている事件の、農地の任意売却(※1)の決済に同席させていただきました。

私は、恥ずかしながら破産法や、農地法、宅建業法などに関する理解が全く足りておらず、北薗先生から今回の事件の資料をお借りした際に、基本的な事項について何点かご指摘いただきました。

 

通常の決済では、その場で委任状等(※2)を作成するのだそうですが、今回の決済では、事前にそれらが作成されていたこと、また、買受人の方が売買代金を現金で用意されていたことで(※3)、手続き自体はとてもスムーズに終わった印象でした。

短い時間ではありましたが、手続きを待っている間、委任状や農地法5条の許可関連書類などの原本を見させていただくことができました。

また、北薗先生が、買受人の方や司法書士の先生と、風力発電についてお話されているのを聞いて、法律のことだけでなく、広くアンテナを張って情報収集することの大切さを感じました(※4)。

 

北薗先生には、お忙しい中、担当の修習生ではないにもかかわらず、別件の破産管財事件の配分表を起案させていただき、債権者集会(※5)に同席させていただくなど、大変お世話になりました。

お話させていただくたびに、自分の至らなさを感じ、不甲斐ないばかりですが、これからの修習を充実したものにできるよう、取り組んでいきたいです。

選択修習の講義(※6)などでお会いした際には、少しでも成長した姿をお見せできるようにがんばります。

 

※1 無担保の物件であったので「任意売却」といえるか。

※2 売買契約書、登記用の委任状等。

※3 通常は、売買代金の出金手続きに30分から1時間かかる。

※4 ちなみに、本日の目的物件は、太陽光発電用の土地の売却。

※5 第1回集会。債権者多数出席。

※6 破産管財と相続の講義を担当。なお、同修習生は、当事務所で遺産分割協議書も起案。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.02.14更新

1 賃貸借契約に関する相談の中では、「明渡し」についての相談件数が多いです。

2 明渡しの事案においては、明渡しを求める理由が、賃借人の債務不履行(多くは賃料不払い。その他無断転貸や無断譲渡など。)の場合であるか、それ以外の場合であるかを、分けて考えることが必要です。

3 賃料不払いや、賃借人の地位の無断譲渡や無断転貸等の債務不履行の場合、賃料不払い等の期間などの条件はあるものの、それらを理由とする賃貸借契約の解除及び明渡しの請求は、比較的容易に認められる場合が多いです。

4 しかし、①建物所有を目的とする借地契約や、②借家の場合、貸主の都合による賃貸借契約の解除や土地・建物の明渡しを求めることは、非常に難しいです。

5 「定期借地権」や「定期借家権」は、一定の契約期間終了時に更新をしないことを定めることができます。一方、定期借地権や定期借家権ではない普通賃貸借契約の場合、契約書に賃貸借の期間を定めていても、更新されることが原則であり、更新拒絶には「正当事由」が必要です。

6 そして、通常、借地上の建物や借家が賃借人の生活や営業の拠点であることが多いため、賃貸人の明渡請求が認められるべき「正当事由」があるかという判断基準(立ち退き料の支払も含めて)は、相当厳しくなっているのです。そのため、賃借人が明渡しに承諾しない限り、明渡しを実現することは、非常に困難となってしまいます。

7 明渡しの実現が困難であることにつきご理解頂いた上で、貸主の都合による明渡請求の依頼を受けることがあります。この場合、依頼者(貸主)から背景事情を広く聴き取り、依頼者の真の希望に近づける解決策実現に向けての話合いを重ねるようにしています。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.02.09更新

1(1)自動車保険の「弁護士費用特約」が普及した関係で、過失割合(事故態様)が争いとなる物損事案(損害賠償請求)について、裁判にまで至ることが多くなりました。

(2)裁判では、訴状提出後、当事者が答弁書、準備書面、証拠を提出した段階で(当事者の尋問を経ずに)、裁判所より和解案が提出されて解決に至ることもあります。中には、和解に至らず、当事者の尋問をした上で判決となることもあります。

2(1)最近依頼を受けた、むち打ちなどの神経症状が遺った人損事案において、後遺障害等級認定非該当に対する異議申立てが認められました。

近似、後遺障害等級認定「非該当」の結果に対する異議申立てが認められ、後遺障害等級「14級」の認定を受けるという事案が増えてきた気がします。

(2)14級の慰謝料の裁判基準は110万円です。慰謝料に加えて、逸失利益(障害に起因する労働能力減少に伴う収入減少による損害)も支払われますから、非該当となるか14級の認定を受けるかで、約150万円程度の差があることになります。

3(1)事故で歯を欠損した場合、3歯以上に対し「歯科補綴(欠損部分を人工物で補う治療)」を加えたことが14級の認定の基準になっています。

補綴が2歯以下の場合には、14級に至らない後遺症として、状態に応じた後遺症慰謝料が認められるかが問題になります。

(2)歯の欠損で後遺障害等級14級の認定を受けた場合、逸失利益が認められないことが多いです。その場合、神経症状の後遺障害の場合と異なり、基準額110万円を超える慰謝料が認められることがあります。

当事務所でも、裁判所の手続をとることにより、110万円より多い慰謝料の支払いを受けられたことがあります。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.01.31更新

1 夫婦に子がおらず、自宅不動産の登記名義人が夫婦共有もしくは一方の配偶者のみと なっている場合の相続において、遺言書が無い場合、自宅不動産を他方配偶者の単独所有とするためには、他方配偶者とともに相続人となる親もしくは兄弟姉妹との協議(所有権移転登記手続上必要な書類への署名・押印)が必要です。

2 遺言書が無く、相続人が他方配偶者と兄弟姉妹であった場合に、相続開始後何年も遺産分割協議をせず放置してしまうと、「再転相続」(相続人自身の相続開始)が問題となり得ます。いざ署名・押印の取り付けが必要になった場合に兄弟姉妹が亡くなっていると、兄弟姉妹の相続人(子ら)の署名・押印が必要になってしまうのです。

3 この「再転相続」が問題となった最近の案件では、夫の相続開始時における妻以外の相続人は3人(夫の姉甲と姉乙の代襲相続人である子AB)のみであったのに、遺産分割をしないまま放置したことで、合計12名もの署名・押印が必要となっていました。放置している間に、①姉甲の相続が開始し、②姉甲の相続人にも相続が開始し、③姉乙の代襲相続人Aにも相続が開始したことで、Bのほかに11人もの署名・押印が必要になったのです。

4 配偶者の兄弟姉妹の子(さらにその子)となれば連絡先を知らないことも多く、連絡先を知っていても疎遠であったり、他府県(外国ということもあります。)に住んでいたり、ということも珍しくありません。

5 なお、相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合、兄弟姉妹には「遺留分」(遺産の一定割合の取得を保証する制度)がないため、遺言書によって、全てを他方配偶者に取得させることも可能です。

6 遺言書の作成や、適時の遺産分割協議は、相続で「もめる」心配がない場合であっても、『煩雑な事務手続きを避ける』ために、とても大切です。

投稿者: 北薗法律事務所

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