弁護士北薗のBlog

2019.06.26更新

1 他事務所所属の弁護士から同事務所で弁護修習中の修習生への課題を求められ、2問出題しました。

他事務所所属の弁護士は、修習生の際、当事務所で弁護修習をした弁護士です。

2 今回出題した2問の課題(課題の内容は、修習生日記3を参照下さい。)の起案によって、修習生には以下の内容を習得してもらいたいと期待していました。

(1)1問目

ア いわゆる「3点セット(※)」のうち「現況調査報告書」のみ交付しての出題でしたが、以下の検討が必要でした。

①購入希望者に対しては3点セット全てをみて確認するように助言すること

②①の際には、3点セットをどう読むか、何を読み取るべきかを説明すること

(とりわけ、「物件明細書」の見方)

③本件の「評価書」では特に、「借地権減価」「執行減価」について勉強しておくこと

(※「物件明細書(賃借権などの権利関係の記載)」「評価書(鑑定士等による価格の評価)」「現況調査報告書(執行官の現地調査結果)」)

イ 弁護士の視点としては、購入希望者への助言という視点のみならず、相続財産管理人(売主側)の視点の検討も必要でした。

①売却許可までの手続

②共有者の同意の取り付け

③受戻案(建物所有者への割り付け。借地権割合の理解。)

ウ 上記イの視点があることで、上記アの説明にも「深み」が出ることになります。

(2)2問目

ア まずは、弁護士として、以下の立場(視点)の検討を要しました。

①破産管財人の視点(任意売却の売主としての視点)

ⅰ)代金、ⅱ)賃借権等引継ぎ事項の契約書への記載方法

②賃借人の視点(対抗力の有無、支出済み費用が有益費か否か)

イ 前ア①②を十分に検討し、踏まえた上で、買主側の視点から検討していくことが必要です。

 

投稿者: 北薗法律事務所

2019.06.26更新

1 私は他の事務所で弁護修習をしていた72期司法修習生ですが、この度、事務所の先生が北薗先生にお願いしてくださったこともあり、北薗先生から具体的事例を基にした検討課題を2問頂けました。

 

2 1問目は、

・根抵当権の設定された土地の上に目的外建物が建築

・当該土地が競売にかけられている

・土地・建物共有者である夫婦のうち一方が死亡しており、他方が相続を放棄したため相続財産管理人が選任されている

という事例について、当該土地を購入しようとしている人に対していかなる助言をすることができるか、といった課題でした。

私は、土地及び目的外建物の共有者が同じであるため、この競売にかけられている土地を購入しても、土地に目的外建物所有者のための法定地上権(民法388条)が成立してしまうことを念頭に置いた起案を行いました。

しかし、相続財産管理人が選任されていることをどのように評価すればよいかいまいち理解できていませんでした。相続財産管理人としては、早く相続財産を売ってしまいたいというインセンティブが働くことを考慮する必要がありました。また、一括競売(389条)についても検討する余地があり、そこについても見落としていました。

問題全体として、北薗先生が想定していた解答をすることができておらず、競売や相続財産管理人の動きなどといった実務的知識が全く理解できていないことを痛感しました。

 

3 2問目は、

・建物賃貸借契約を締結し賃借人が居住し始めた後に、建物に賃貸人のための抵当権が設定し、抵当権設定登記が具備される

・建物賃借人が自ら代金を支出して建物にリフォームを施す

・建物賃貸人が自己破産

・任意売却もしくは競売により建物所有者が変わる

という場合における、①賃借人と新建物所有者の法的関係、②リフォーム代金をめぐる法的関係、を問う問題でした。

賃貸借契約が成立し賃借人が居住した後に抵当権が設定されていることから、賃借権は対抗要件を具備し(借地借家法31条1項)、抵当権実行により競売で建物を取得した者や任意売却により取得した者に対して賃借権を対抗することができる、また、賃貸人たる地位が建物新所有者に移転することから、敷金返還債務も新所有者に移転することになる、といった解答をしました。

リフォーム代金についても、「有益費」(608条2項)にあたるため、新賃貸人に償還を請求できるとしました。

解答としてはこれで問題ないとのコメントをいただきました。司法試験民法における基本的な論点が問われる問題であったため、受験生時代の知識で解答自体は出すことができましたが、抵当権が設定されている場合の賃借権の価値といったところまでは考えを馳せることができておらず、実務においては単に論点に沿って答えをだすのみならず、価格の低下が及ぼす影響などの視点が必要だと知りました。そして自身の実務的視点の欠落を感じました。

 

4 配属先や出向先ではない他の事務所の修習生であるにもかかわらず、短期間で2つも具体的事例に基づく検討課題を与えてくださり、丁寧な解説やコメントまでしていだいた北薗先生には頭が上がりません。私の弁護修習期間中、配属先の事務所ではなかなかこういった事例にはめぐりあえなかったので、今回このような勉強に機会を与えていただき感謝しております。私は修習後に弁護士になるかわかりませんが、良い法曹になっていけるよう、今回学んだような実務的視点を活かして、残りの修習にも全力で取り組んで参りたいと思います。

投稿者: 北薗法律事務所