弁護士北薗のBlog

2017.09.20更新

1 不動産の借主が倒産した場合、

①建物明渡(借家人の倒産)

②建物収去土地明渡(借地人の倒産)

の問題が発生します。

2(1)貸主の借主に対する債権は、

①未払賃料請求権

②原状回復費用請求権

③収去費用請求権

④違約金(例えば賃料2倍相当額を明渡までの遅延損害金として支払う)請求権等

があります。

(2)借主の破産の場合、これらの債権は、破産手続開始前後において取扱いが異なります。例えば未払賃料及び明渡時までの遅延損害金は、破産者の破産手続開始決定前は「破産債権」となり、破産財団による債権者への配当手続がなされる場合に、一定割合が支払われることになります。それに対し、破産者の破産手続開始決定後は「財団債権」となるため、原則として随時貸主に支払われることになります。

もっとも、明渡費用を賄う資力が無い場合には、財産債権であっても支払われない場合が多いです。

3(1)倒産した場合、借主(破産者)側には明渡費用を賄う資力が無いことが多いです。

その場合、土地上の建物や建物内の残置物は処分されず残されたままになります。

(2)貸主としては、

①借主から残置物を譲り受けるか(譲り受けない場合、残置物等の処分権限を取得するのに判決手続が必要になる。)。

②残置物を譲り受けるとしていかなる譲渡原因とするか。

③残置物の処分権限を取得するが、譲受けはしないか(固定資産税の負担の問題)。

を考えることになります。

4 また、貸主としては、借主が行方不明となっている場合には、判決を得て明渡執行を行うことになるかについても検討することになります。

5 執行申立を行う場合、残置物の処分について明渡執行とは別途の動産差押執行申立を行うか(債務名義として、未払賃料についての給付判決を得ておく必要あり)を検討する必要があります。

6 倒産案件(破産管財人選任案件、相続財産管理人選任案件)は、不動産の借主側の倒産という場合が多いですが、貸主側の立場の代理人である場合には、

① 残置物を借主にどこまで処分させるか。

② 残置物処分費用の負担者は誰か。

③ 残置物の処分権限の取得方法(判決によるか、借主との合意によるか)。

などを考えながら、貸主に解決方法を提案していくことになります。

 

投稿者: 北薗法律事務所

2017.09.04更新

1 後見事件や破産管財事件で、被後見人や破産者本人が交通事故により被った損害の賠償請求を、後見人や破産管財人として行うことがあります。

そのような案件において、弁護士費用に関連して、以下のような問題があります。

2 後見事件の場合、後見人選任前に、被後見人の代理人弁護士によって既に交通事故による損害賠償請求がなされていることもあります。その場合、被後見人の代理人弁護士の「弁護士費用」が、被後見人にとって「損害」となるのではないかという問題がおきます。

3 弁護士である後見人や破産管財人が交通事故の損害賠償請求を行う場合、後見人や破産管財人の「弁護士費用」が被後見人にとっての「損害」にはならないとしても、自動車保険の「弁護士費用特約」(弁護士費用等の支払の為の保険特約)の支払対象となるのか、ということも問題となります。

4 破産者本人が相続人となる被相続人(破産者本人の親等)が交通事故により死亡した場合、破産管財人として、損害賠償請求(破産財団)をする場合、取得した損害賠償額金によって破産債権者に対する債務の全額が返済可能(100%配当)となる場合もあります。

その際、破産者本人を含めた相続人全員が「限定承認」(被相続人の債務額が不明で、財産が残る可能性がある場合に、相続によって取得する財産の範囲で被相続人の債務を受け継ぐこと。)をしていたら、被相続人の債務額を超える損害賠償金請求権が破産管財人に帰属するのか否か、損害賠償請求につき訴訟追行が可能か、ということも問題となります。

5 また、破産者本人が被相続人の交通事故による損害賠償を取得する場合には、被相続人の債権者から相続人(破産者本人)の固有の財産と相続財産との混合を避けるために「財産分離」を前提とした処理がされることがあります。そのため、交通事故の損害のうち、①慰謝料、②逸失利益を、相続構成として被相続人の財産(相続財産)とするか、相続によって取得した相続人の固有財産として請求するか、被相続人に対する相続人の「扶養権侵害」として請求するか、について悩むことになります。

6 最近、後見事件において後見人として、被後見人の代理人の弁護士費用の「相当性」を問題とすべきかにつき、裁判所に対する「指示伺」を続けて出しました。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.08.16更新

1 相続案件、破産事件、その他民事事件においては、不動産の売却を検討する機会が多くあります。不動産(建物)の売却をするにあたり、同建物内に残された家財道具等(動産)の処理が問題になります。営業所等として利用されていた場合には、残された事務機器等(コピー機・電話機等)がリース契約によって設置されたものであることも少なくありません。

2 今回、伊賀方面で不動産の売却時には、建物内の動産の処理を以下のとおりとしました。

(1)個人のプライバシーに関する情報が掲載された書類・・処分業者に依頼して焼却処分

(2)リース物件であった事務機器等・・・リース業者による所有権放棄を得た上で、「ゴミ」として建物内に残したまま売却

本件では、不動産の買主から、(1)のプライバシー関係書類の処理は引き受けられないが、(2)のリース物件を「ゴミ」として引き受けることは了承する、との申し出がありました。

3 同じく個人情報関係書類とリース物件とが残置された不動産売却の別件でも、不動産の買主から同様の申し出がなされたことがありました。

その際は、残置された動産の中から価値のあるもののみを売却して搬出し、価値のないものは「ゴミ」として残置したまま売却することで不動産の買主と合意しました。

4 破産管財事件では、破産者所有の不動産(債権者に配当するための財産となる)を破産管財人として任意売却することが少なくありません。

任意売却のために破産者が当該建物から転居する際、破産者より、「建物内をきれいに片付ける必要があるか」との質問を受けることがよくあります。

破産管財人としては破産者に対して、「必要なものだけ持ち出してもらえば足り、不要物は「ゴミ」として当方で処分するので残してもらって構わない」と答えます。破産者には、片付けよりも、早く退去することを優先してもらうよう話をしています。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.07.14更新

1 破産管財事件の換価処分として、破産財団に属する不動産を売却しようとしても、三重県の案件の場合、当該不動産が「山林」等であることが多く、その所在が不明の場合が少なくありません。

2 そのような場合、破産管財人としては、売却困難であることを理由として、破産財団からの放棄をし、換価処分(売却)を諦めて事件を終了させることが多いです。

3 一方、相続財産管理の案件においては、相続財産の処分(売却)をあきらめるという方法で事件を終了させることができません。そのため、相続財産の処分に際しては、売却可能性のある他の不動産と当該所在不明の不動産を合わせて価格交渉等を行い、買い受けてもらうよう打診することになります。

4 また、競売申立事件においては、競売の目的不動産の所在が不明の場合(所在が確定し得ない場合も含む)、民事執行法53条(不動産の滅失等による強制競売の取消し)を類推適用して、競売手続が取り消されることになります。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.06.16更新

1 相続人が遺言者を取り込み、何度も遺言書を作成させたことで、次々と作成された遺言書のうちどれが有効か(あるいはどの部分が取り消されたか)が問題となることはよくあります。

私も、破産管財事件で破産管財人として、先行遺言による受贈者が原告となった後行遺言の遺言無効確認事件を取り扱ったことがあります。

2(1)遺言は厳格な要式行為ですので、民法に定める要件が整っていないと、遺言書としては無効です。生前に弁護士等専門家による要件の確認を受けていれば、要式性の不備は修正することができます。

(2)もっとも、要式性に不備のあるまま相続が発生(遺言者が死亡)してしまった場合(遺言書としては無効の場合)でも、弁護士は、当該書面に記された遺言者の意思を実現する方法はないか、という視点で事実関係を確認します。具体的には、書面作成に至る事実経過や書面作成時の状況等を聴取し、死因贈与といえないかを検討します。

3(1)一方、有効な遺言書がある相続の相談の場合、生前に相談を受けて入ればトラブルを避けることができたということも少なくありません。

(2)せっかく遺言を作成したのに対立する相続人の協力を得なければ遺言の内容を実現できないという問題の場合、事前に相談を受けていれば、遺言において遺言執行者(遺言の内容を実現する者)を指定する助言ができたのに、と思うことがあります。

(3)また、自筆証書遺言の場合、相続開始後遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出し、「検認」(相続人に遺言の存在・内容を知らせ、遺言書の形状・状態・日付・署名等を確認する手続)の請求をしなければならないことも、事前に相談があれば助言が可能です。

(4)さらに、「遺留分」(一定の相続人に保証された最低限の相続分)によるトラブルを視野に入れない遺言の場合、事前に相談を受けていれば、トラブルの解決を視野に入れた補充事項の加筆や、遺言内容の変更を助言できることもあります。

4 インターネット上では、作成された遺言書について、相続発生前に点検をするサービスの提供を明示している法律事務所も増えているようです。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.06.09更新

今回私は,北薗先生が破産管財人を担当されている津地方裁判所の破産管財事件の債権者集会と第三銀行津支店での任意売却の決済に同席させて頂きました。

債権者集会では,債権者から質問が出され,北薗先生が丁寧に説明されていました。以前民事裁判修習の際に立ち会わせていただいた債権者集会では,債権者から質問が出されることはなく,淡々と手続が進んでいったため,破産管財人が債権者に対し,どういう風に対応されるのか分かりませんでしたが,今回同席させて頂いた債権者集会では,債権者集会での破産管財人の債権者に対する対応の仕方を学ばせていただくことができました。

 

任意売却の決済では,売主・買主・抵当権者・司法書士・仲介業者の方が集まり,売主と買主の売買契約を成立させるため,複数の法律行為をほぼ同時に行っていました。私は,任意売却の決済に同席させて頂くのは初めてだったため,いくつもの契約がスムーズに結ばれていく様子が非常に印象的でした。また,決済の際に行われるであろう法律行為を事前に検討していたのですが,実際に行われていた法律行為と比べると不足する部分があり,勉強不足を痛感しました。

 

司法修習中であっても債権者集会や任意売却の決済に立ち会うことができるとは限らないため,今回債権者集会と任意売却の決済に立ち会わせていただけたことは,非常に有意義な経験でした。お忙しい中,私の指導担当ではないにもかかわらず,立ち会わせて下さった北薗先生には,とても感謝しております。今回の経験を活かしてこれからの司法修習生活をより充実したものにしていきたいと思います。

 

【コメント】

① 同席した債権者集会は、続行集会(第5回集会)であった。出席債権者は4名であり、第5回集会で4名もの債権者が出席することは少ない。

② 債権者の質問に対し、分割払いの債権を「サービサー」に売却すると説明したところ、修習生は「サービサー」が何か知らなかった。そこで、一応の説明をして、調べておくようにと指示した。

③ 債権者集会の帰り、他の事件で管理人となっている執行官と収益執行の打合せをするために執行官室を訪ねた。修習生は執行官の役割や仕事を知らないとのことだったので、少し説明をしておいた。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.05.08更新

1 勤務弁護士より、後見に関する研修のテーマについて、何が良いかと聞かれたので、

①相続の前哨戦型の後見申立で「後見人」は、推定相続人からの調査要求に対し、どこまで調査をすべきか

②障がい者の子の為に、「民事信託」と「後見申立」のいずれを選択すべきか

③後見相当の人について、専門職を後見人候補者とする後見申立を促し、かつ業務として「ペイ」するためにはどうしたらいいか

の3点を挙げました。

2 ①について

(1)相続の前哨戦型については、現在手持ちの案件をみると、本庁及び松阪・伊勢・尾鷲・伊賀等、全ての支部の案件で問題となっています。

ア)使途不明金の返還請求、イ)使途不明金の存否(相続開始時の特別受益)確認要求、ウ)財産調査要求が、裁判所はともかく、被後見人の親族(推定相続人)から後見人に対してなされることがあります。

(2)被後見人の親族からの要求については、これに応じない場合、後見人・裁判所への不服申立につながる可能性があります。もっとも、身上監護をしている親族に対する、他方親族からの調査要求については、調査対象とされた親族による身上監護の協力が得にくくなり、後見人の首を絞める(身上監護に関する仕事の負担が増える)ことになる可能性もあります。

(3)使途不明金が唯一の推定相続人のところで発生している可能性があるものの、当該推定相続人が身上監護をしっかり担っている場合、(2)の視点も踏まえて、調査の実益がどの程度あるのかと、ふと考えることがあります。

3 ②③について

障がい者入所施設から、全ての入所者に後見人を選任してもらいたいという声を聞くことがあります。また、実際に、後見人が選任されていることが入所の条件になっている施設もあると聞きます。

施設入所者複数人につき、合わせて一人の専門職を後見人として後見申立をする場合には、身上監護面の大部分を施設が担って下さるので、「ペイ」するのではないか、とも思います。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.05.03更新

1 私が破産管財人として管理している収益物件について、抵当権設定者より、物上代位による賃料差押えがされることが判明しました。そこで、固定資産税を破産財団に負担させないために、賃料債権の発生している収益物件について、賃料債権の財団放棄をしました。

2 物上代位による賃料差押えがなされた場合の執行手続は、差押え債権者が賃料を回収するのみですので、当然、賃料から当該収益物件の固定資産税の支払がなされることはありません。

そのため、収益物件の所有者は、固定資産税その他の維持費を賃料以外から捻出しなければならず、当該物件を維持管理する意欲を喪失してしまい、当該物件の管理状況が悪化してしまうことがあります。

3 管理状況の悪化は、空室の増加を招きかねません。管理状況の悪化や空室の増加により、結局は抵当権者の債権回収が困難になるおそれがあります。

4 このようなおそれを避けるため、抵当権者は、対策として、収益執行の申立をすることもあります。

収益執行の場合、執行手続きの中で、(債権者への配当の前に)固定資産税の支払も行われることになります。

5 また、収益執行の場合、収益物件の管理権限や賃借する権限を、裁判所より選任される収益執行管理人が有することになるため、管理状況の悪化を防止することができます。

6 収益執行の申立は、物上代位をした物件に対して、重複して行うことも可能です。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.04.21更新

1 津市の三重県総合文化センターで、「東海税理士協同組合津地域事業部」主催の税理士会の「研修会」で講演をしてきました。

2 題名は、『裁判所が選任する「財産」の管理人』でした。

3 破産管財人、成年後見人、相続財産管理人(相続人不存在)の業務について、①費用、②事件の流れ、③必要書類、の一般論をお話ししました。

4 税理士の先生方が対象でしたので、「関与先」との関わり方で興味がおありだろうと思われる以下のお話しも付け加えました。

①換価の仕方として、税理士の先生の関与先が不動産や機械を購入する時に、①何時、②誰に申し出たらよいか(申立代理人弁護士や破産管財人への申し出の方法・タイミング)等。

②償却書類の取り付け方として、ア)廃止通知書は破産管財人から送られるか否か、イ)「配当なき証明書」の申し出方法、ウ)ア、イを義務として速やかに行わない破産管財人への対処方法等。

③その他として、申立の遅い申立代理人や破産管財業務の遅滞した破産管財人へのクレームの言い方、クレームにあたり効果的な方法(管財の業務報告書の取り付け方、報告内容への業務遅滞に関するつっこみの入れ方)等。

5 成年後見人と相続財産管理人については、破産管財人との対比で少しお話ししました。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.03.22更新

1 相続人の行方が不明であるという相続案件がいくつかありました。

①住民票をたどっていって判明した例もありますし、②三重県から他府県に転出して行方不明の方もいます。③伊賀市から三重県内の他の市町村へ転出届がなされた後、行方不明であるという方もいます。

相続人の行方が不明の場合、不在者財産管理人選任申立をすることになります。

他の弁護士に依頼されて、①ないし③と同様の事案で不在者財産管理人に選任されたこともあります。

2 相続財産の不動産について、相続人の誰も利用しないために、換価分割とするということが多くなりました。

相続人の希望があれば、不動産売却のために不動産業者と相続人を繋ぐ(売却支援)作業もしております。

破産管財人として、破産財団に属する不動産の任意売却を多数行っているため、三重県内の不動産業者(とりわけ、津、松阪、伊賀、名張方面)の不動産業者とは面識があります。

現在は、津市、伊勢市等にて、換価分割の為、不動産業者に依頼しています。

売却の立会いの支援、相続人への配分等、税務申告支援等を行っています。

投稿者: 北薗法律事務所

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