弁護士北薗のBlog

2018.04.09更新

1 故人の相続人(配偶者、両親、子、兄弟姉妹、及び兄弟姉妹の子)の存否が不明の場合(相続人が放棄した場合も含む)、家庭裁判所への申立により、相続財産管理人が選任されます。

相続財産管理人を受任した経験上、被相続人が多重債務者であり相続人全員が相続放棄したという場合(①多重債務型)が多いです。他に、相続財産を国庫に帰属させる場合(②国庫帰属型)、被相続人の生前に生計を同じくしていたり被相続人の療養看護に努めていたりした人(特別縁故者)がいる場合(③特別縁故型)があります。

2 上記1①ないし③の全ての型の相続財産管理人案件を受任していますが、現在、③特別縁故型の案件を複数受任しています。

3 最近は、相続人がいない人の相続につき、③特別縁故者型の相続財産管理人事件が増えつつあるのではないか、という印象を持っています。

4 特別縁故者として相続財産分与申出という方法があることを知っている方の中には、相続人の生前において、特別縁故者への遺贈を定めた遺言を作成してもらうという方法を知っている方もいます。

もっとも、特別縁故者が従兄弟など本人と一定の関係を有している場合、本人の生前には遺言の作成をなかなか申し出ることができず、特別縁故者への相続財産分与申立をするということもあります。

5 特別縁故者に対する遺贈を定めた遺言は、一般に遺言に関しよく発生する「遺言無効の紛争」や、「遺留分」(法定相続人に保障された最低限度の取得分)を巡る争いは通常発生しません。そのため、特別縁故者に対する遺贈を定めた遺言を作成しておけば、相続財産管理人選任申立という煩雑で期間も要する手続きを経ることなく、比較的スムーズな相続を行うことができます。

6 ③特別縁故者型の相続財産管理人選任による場合には、

(1)相続財産管理人選任申立の為の資料取得等の準備と申立手続

(2)特別縁故者への相続財産分与の申立の為の資料取得等の準備と申立手続

を要します。

そして(2)の申立後には、相続財産管理人に対する説明と、家庭裁判所調査官に対する説明も要します。

これらの手続を経ても、相続財産(被相続人の債務等の清算後の財産)の全額が特別縁故者に分与されるわけではありません。

7 遺言が作成された場合であれば、相続発生後、直ちに相続財産を遺贈による取得することが可能ですが、③特別縁故者型の相続財産管理人選任による場合には、

ア)相続財産管理人選任時から特別縁故者への相続財産分与申立が可能となるまで、約1年(選任の公告:2か月、債権者・受遺者に関する公告:2か月以上、相続人に関する公告:最低6ヶ月)を要する上に、

イ)特別縁故者の財産分与申立期間は、相続人が名乗り出るための公告期間満了日から3か月以内との制約があります。

投稿者: 北薗法律事務所

2018.02.13更新

1 奨学金破産が増えているとの新聞報道がありました。

2 就職したばかりで特記すべき財産が無い場合、破産手続に要する費用は、①申立手続のための弁護士費用と、②裁判所への予納金(官報掲載費用等のため。)等の費用のみであり、③破産管財人(主に、破産開始時の財産を調査・換価し、債権者への配当を行う。)の報酬の為の裁判所への予納金(通常30万円)は必要ありません。

債権者への配当の可能性が無いため、破産手続開始と同時に破産手続廃止となり(「同時廃止」)、債権者への法的支払義務を免れる(「免責」)決定により、債務を支払う義務が無くなります。

3 破産・免責によって奨学生本人が返済義務を免れても、奨学金返済債務の保証人となっている身内の方の支払義務はそのままです。保証人が、奨学金の返済債務により、住宅ローン等他の債務の返済などの生活設計を狂わせてしまい、破産申立をやむなくする場合もあります(連鎖破産)。

4 奨学金の保証を身内などの「人的保証」ではなく保証機関とする「機関保証」とすれば良い、との意見がネット上で見られます。機関保証の場合、一定の保証料は必要ですが、奨学生本人が破産しても(機関保証債務の保証人になっていなければ)身内に奨学金返済債務が及ぶことはありません。

一定の保証料負担を懸念して人的保証とし、上記3の事態になることもあるようです。

5 奨学金の借り入れではなく、親が教育資金を借り入れ、その返済のため他の金融機関等から借りるも、結局返済困難となり、破産申立に至るという場合も少なくありません。

この場合、親が自宅不動産を保有していたり、退職金取得見込があったりする場合には、「同時廃止」ではなく、破産管財人による財産の調査・換価・配当を要します(「管財事件」)。そのため、上記1③の管財費用を予納する必要があります。

投稿者: 北薗法律事務所

2018.01.25更新

1 免許取消処分(不利益処分・行政処分)の聴聞通知書を受領した段階で当事務所に相談に来られた依頼者の聴聞に付き添いました。

2 私が依頼者の聴聞手続きに付き添うのは、今回で2回目です。

前回は、警察官による取調べ段階(刑事事件)で相談に来られて受任しましたので、管轄の警察署・検察庁宛に提出した書面(弁明事項を記載した意見書)が、聴聞日前に、同署より公安委員会に送付されておりました。

今回、弁明事項を記載した書面を聴聞日前に提出することにつき、公安委員会に問合わせたところ、聴聞当日に提出して下さいとの回答でした。

そのため、聴聞当日の付添の際に弁明書面を提出することになりましたが、一人当たりの聴聞時間は20分程度ですので、あまり長い書面(かつ資料添附の多い書面)は避けた方が良いかもしれません。

3 本日は、呼出時間の20分ほど前に到着しました。

まずは、受付でネームプレートを受け取り、「補佐人出頭許可申請書」を本人と付添人が連名(付添人1名につき1枚)で作成して提出します。

その後、呼出時間になると同日呼出の全員が待機室に通されます。

4 待機室では、

①聴聞の目的(刑事事件の取調べとは異なる手続であること)

②弁明書面があれば提出すること

等の説明が10分程度なされます。

その後、聴聞のため、順次別室へ呼ばれます。

5 別室はいくつかの区画に分けられており、主に聴き取りをする方(主査)と主に記録をする方(副査)が2名1組で各区画において聴聞を行います。

今回は3区画で同時に聴聞が行われました。1組の聴聞者が、3~4名を担当していました(前回は4区画で1組が5人ほど担当していました。)。

6 上記2のとおり、聴聞時に主査に弁明事項記載の書面を提出したところ、同書面に目をとおしながらの質問となりました。

6 聴聞後は、処分の告知(運転免許取消処分通知書の交付)の時間(同日午後4時頃)まで各々待機します(外出も可)。告知は補佐人(付添人)が同席することができませんので、本人のみ告知を受けに戻ります。全体の手続は、午後4時30分には終了します。

 

投稿者: 北薗法律事務所

2017.12.25更新

1 相続事案に際し、私が最も多く参照する文献である「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(日本加除出版株式会社)」の第3版が、平成29年10月に出版されています。

2 預貯金債権の遺産分割対象性等に関する記載が増加されています。

3 気になった箇所を拾い読みしました。

(1)ア 電話会議システムを利用する場合、当事者に手続代理人として弁護士が付かない場合(本人が相手方当事者である場合)に、電話の相手方の本人確認をどうするかという留意点があります。

イ 本書によると、「調停裁判所から相手方所在地近くの裁判所へ手続共助という形で調停室の借用と本人確認を依頼し、相手方にその裁判所へ出頭してもらう運用により、利便性と公正な手続のバランスを保つ工夫がなされている。」(36頁)とのことでした。

(2)ア 最近、破産管財事件の処理の中で相続が問題となった事案で、第三者に相続分譲渡(相続人が複数いる場合、相続財産全体に対する各相続人の持分を他者に譲渡する)をして、被相続人の遺産分割を行うかどうかを検討することがありました。

イ 遺産分割後の不動産の登記手続が不明でしたので、いつも相談をしている司法書士の先生にお聞きして回答を頂いたのですが、その回答と同じ内容が本書にも記載されていました。

ウ すなわち、「被相続人名義の不動産について、共同相続人以外の第三者が共同相続人のうちの一人から相続分の譲渡を受けた場合に、譲渡を受けた者の名義にするには、①相続を原因とする共同相続人への所有権の移転の登記を経た上で、②相続分の譲渡による持分の移転登記を順次申請するのが相当である。(登記研究728号243頁)」(120頁)とのことでした。

(3)ア 預貯金債権が遺産分割の対象となることに関連して、遺産分割の対象とならない財産である、遺産である賃貸不動産から生ずる賃料が被相続人名義の預貯金口座に入金された場合の取扱いが気になっていました。

イ 収益物件の管理件数が多いので、頭を整理しておく必要がありました。

ウ 本書によると、「賃料が相続開始後に被相続人名義の預貯金口座に入金がされた場合においても、利息と同じように、相続開始時の残高相当額部分のほか相続開始後に入金された賃料を含む預貯金債権全体が遺産分割の対象となると考えられる。」「相続開始後に被相続人名義の預貯金口座を残すという相続人全員の合意は、その後に入金される賃料も遺産分割の対象に含める旨の合意を含むと解されるからである。」「しかし、共同相続人の一人につき超過特別受益が認められ、具体的相続分がない場合においては、同人は相続開始後に入金された賃料を取得できなくなるという問題が生ずるので、このような場合には上記合意が成立することはないと考えられる。」「実務においては、賃料が入金される一方で経費やローンが引き落とされ、その経費に当該不動産以外のものが含まれている場合がある。この場合は、経費との差し引き計算をする煩雑さを考慮して、入金額を遺産分割の対象とはせずに、別扱いとし、収入と支出につき別途に計算して分配している。」とのことでした。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.12.19更新

1 破産管財事件では、破産財産に属する不動産(破産者の所有していた土地・建物)の換価処分(売却して破産債権者への配当原資とすること)を行います。

不動産取引については不動産業者に発注しますが、私が主にお願いする業者は5社ほどです。

2 破産管財事件の取扱いが多いため、不動産売買件数も多く、当ブログでも不動産換価に関する記事を多く載せています。

名古屋市の弁護士事務所から、不動産換価を要する案件につき相談を受けていました。同事務所の事務局ご担当者が、当ブログを見て下さり、ご相談頂いたとのことでした。いつもお願いしている不動産業者から、ご相談案件の分野を得意とされている1社を紹介したところ、同業者から、先日、決済終了のご報告を受けました。

3 最近は、不動産売却希望者のみならず、購入希望者からの相談も増えています。

①売買の合意後、売主の判断能力低下が懸念されるとの買主側からのご相談により、売主の後見申立を行ったもの、②法人の破産手続により財団放棄(清算法人)された不動産の購入希望者からのご相談(南紀州・伊勢方面)、③個人の破産手続きにより財団放棄をした後、同破産者が死亡し、相続人が相続放棄した不動産の購入希望者からのご相談等がありました。

4 ③の事例は、相続人が不存在であることの調査(相続放棄した相続人の次順位・次々順位の相続人の確認)につき、相続債権者でなければ調査のメリットが無いため、調査にメリットを有する相続債権者の協力をいかに得るかにつき、工夫が必要です。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.09.20更新

1 不動産の借主が倒産した場合、

①建物明渡(借家人の倒産)

②建物収去土地明渡(借地人の倒産)

の問題が発生します。

2(1)貸主の借主に対する債権は、

①未払賃料請求権

②原状回復費用請求権

③収去費用請求権

④違約金(例えば賃料2倍相当額を明渡までの遅延損害金として支払う)請求権等

があります。

(2)借主の破産の場合、これらの債権は、破産手続開始前後において取扱いが異なります。例えば未払賃料及び明渡時までの遅延損害金は、破産者の破産手続開始決定前は「破産債権」となり、破産財団による債権者への配当手続がなされる場合に、一定割合が支払われることになります。それに対し、破産者の破産手続開始決定後は「財団債権」となるため、原則として随時貸主に支払われることになります。

もっとも、明渡費用を賄う資力が無い場合には、財産債権であっても支払われない場合が多いです。

3(1)倒産した場合、借主(破産者)側には明渡費用を賄う資力が無いことが多いです。

その場合、土地上の建物や建物内の残置物は処分されず残されたままになります。

(2)貸主としては、

①借主から残置物を譲り受けるか(譲り受けない場合、残置物等の処分権限を取得するのに判決手続が必要になる。)。

②残置物を譲り受けるとしていかなる譲渡原因とするか。

③残置物の処分権限を取得するが、譲受けはしないか(固定資産税の負担の問題)。

を考えることになります。

4 また、貸主としては、借主が行方不明となっている場合には、判決を得て明渡執行を行うことになるかについても検討することになります。

5 執行申立を行う場合、残置物の処分について明渡執行とは別途の動産差押執行申立を行うか(債務名義として、未払賃料についての給付判決を得ておく必要あり)を検討する必要があります。

6 倒産案件(破産管財人選任案件、相続財産管理人選任案件)は、不動産の借主側の倒産という場合が多いですが、貸主側の立場の代理人である場合には、

① 残置物を借主にどこまで処分させるか。

② 残置物処分費用の負担者は誰か。

③ 残置物の処分権限の取得方法(判決によるか、借主との合意によるか)。

などを考えながら、貸主に解決方法を提案していくことになります。

 

投稿者: 北薗法律事務所

2017.09.04更新

1 後見事件や破産管財事件で、被後見人や破産者本人が交通事故により被った損害の賠償請求を、後見人や破産管財人として行うことがあります。

そのような案件において、弁護士費用に関連して、以下のような問題があります。

2 後見事件の場合、後見人選任前に、被後見人の代理人弁護士によって既に交通事故による損害賠償請求がなされていることもあります。その場合、被後見人の代理人弁護士の「弁護士費用」が、被後見人にとって「損害」となるのではないかという問題がおきます。

3 弁護士である後見人や破産管財人が交通事故の損害賠償請求を行う場合、後見人や破産管財人の「弁護士費用」が被後見人にとっての「損害」にはならないとしても、自動車保険の「弁護士費用特約」(弁護士費用等の支払の為の保険特約)の支払対象となるのか、ということも問題となります。

4 破産者本人が相続人となる被相続人(破産者本人の親等)が交通事故により死亡した場合、破産管財人として、損害賠償請求(破産財団)をする場合、取得した損害賠償額金によって破産債権者に対する債務の全額が返済可能(100%配当)となる場合もあります。

その際、破産者本人を含めた相続人全員が「限定承認」(被相続人の債務額が不明で、財産が残る可能性がある場合に、相続によって取得する財産の範囲で被相続人の債務を受け継ぐこと。)をしていたら、被相続人の債務額を超える損害賠償金請求権が破産管財人に帰属するのか否か、損害賠償請求につき訴訟追行が可能か、ということも問題となります。

5 また、破産者本人が被相続人の交通事故による損害賠償を取得する場合には、被相続人の債権者から相続人(破産者本人)の固有の財産と相続財産との混合を避けるために「財産分離」を前提とした処理がされることがあります。そのため、交通事故の損害のうち、①慰謝料、②逸失利益を、相続構成として被相続人の財産(相続財産)とするか、相続によって取得した相続人の固有財産として請求するか、被相続人に対する相続人の「扶養権侵害」として請求するか、について悩むことになります。

6 最近、後見事件において後見人として、被後見人の代理人の弁護士費用の「相当性」を問題とすべきかにつき、裁判所に対する「指示伺」を続けて出しました。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.08.16更新

1 相続案件、破産事件、その他民事事件においては、不動産の売却を検討する機会が多くあります。不動産(建物)の売却をするにあたり、同建物内に残された家財道具等(動産)の処理が問題になります。営業所等として利用されていた場合には、残された事務機器等(コピー機・電話機等)がリース契約によって設置されたものであることも少なくありません。

2 今回、伊賀方面で不動産の売却時には、建物内の動産の処理を以下のとおりとしました。

(1)個人のプライバシーに関する情報が掲載された書類・・処分業者に依頼して焼却処分

(2)リース物件であった事務機器等・・・リース業者による所有権放棄を得た上で、「ゴミ」として建物内に残したまま売却

本件では、不動産の買主から、(1)のプライバシー関係書類の処理は引き受けられないが、(2)のリース物件を「ゴミ」として引き受けることは了承する、との申し出がありました。

3 同じく個人情報関係書類とリース物件とが残置された不動産売却の別件でも、不動産の買主から同様の申し出がなされたことがありました。

その際は、残置された動産の中から価値のあるもののみを売却して搬出し、価値のないものは「ゴミ」として残置したまま売却することで不動産の買主と合意しました。

4 破産管財事件では、破産者所有の不動産(債権者に配当するための財産となる)を破産管財人として任意売却することが少なくありません。

任意売却のために破産者が当該建物から転居する際、破産者より、「建物内をきれいに片付ける必要があるか」との質問を受けることがよくあります。

破産管財人としては破産者に対して、「必要なものだけ持ち出してもらえば足り、不要物は「ゴミ」として当方で処分するので残してもらって構わない」と答えます。破産者には、片付けよりも、早く退去することを優先してもらうよう話をしています。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.07.14更新

1 破産管財事件の換価処分として、破産財団に属する不動産を売却しようとしても、三重県の案件の場合、当該不動産が「山林」等であることが多く、その所在が不明の場合が少なくありません。

2 そのような場合、破産管財人としては、売却困難であることを理由として、破産財団からの放棄をし、換価処分(売却)を諦めて事件を終了させることが多いです。

3 一方、相続財産管理の案件においては、相続財産の処分(売却)をあきらめるという方法で事件を終了させることができません。そのため、相続財産の処分に際しては、売却可能性のある他の不動産と当該所在不明の不動産を合わせて価格交渉等を行い、買い受けてもらうよう打診することになります。

4 また、競売申立事件においては、競売の目的不動産の所在が不明の場合(所在が確定し得ない場合も含む)、民事執行法53条(不動産の滅失等による強制競売の取消し)を類推適用して、競売手続が取り消されることになります。

投稿者: 北薗法律事務所

2017.06.16更新

1 相続人が遺言者を取り込み、何度も遺言書を作成させたことで、次々と作成された遺言書のうちどれが有効か(あるいはどの部分が取り消されたか)が問題となることはよくあります。

私も、破産管財事件で破産管財人として、先行遺言による受贈者が原告となった後行遺言の遺言無効確認事件を取り扱ったことがあります。

2(1)遺言は厳格な要式行為ですので、民法に定める要件が整っていないと、遺言書としては無効です。生前に弁護士等専門家による要件の確認を受けていれば、要式性の不備は修正することができます。

(2)もっとも、要式性に不備のあるまま相続が発生(遺言者が死亡)してしまった場合(遺言書としては無効の場合)でも、弁護士は、当該書面に記された遺言者の意思を実現する方法はないか、という視点で事実関係を確認します。具体的には、書面作成に至る事実経過や書面作成時の状況等を聴取し、死因贈与といえないかを検討します。

3(1)一方、有効な遺言書がある相続の相談の場合、生前に相談を受けて入ればトラブルを避けることができたということも少なくありません。

(2)せっかく遺言を作成したのに対立する相続人の協力を得なければ遺言の内容を実現できないという問題の場合、事前に相談を受けていれば、遺言において遺言執行者(遺言の内容を実現する者)を指定する助言ができたのに、と思うことがあります。

(3)また、自筆証書遺言の場合、相続開始後遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出し、「検認」(相続人に遺言の存在・内容を知らせ、遺言書の形状・状態・日付・署名等を確認する手続)の請求をしなければならないことも、事前に相談があれば助言が可能です。

(4)さらに、「遺留分」(一定の相続人に保証された最低限の相続分)によるトラブルを視野に入れない遺言の場合、事前に相談を受けていれば、トラブルの解決を視野に入れた補充事項の加筆や、遺言内容の変更を助言できることもあります。

4 インターネット上では、作成された遺言書について、相続発生前に点検をするサービスの提供を明示している法律事務所も増えているようです。

投稿者: 北薗法律事務所

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