弁護士北薗のBlog

2018.06.08更新

1(1)相続財産管理人(相続人不存在の場合に選任される相続財産の管理者)が、相続財産に属する不動産を国庫へ引継ぐ際の従前の運用例について、文献では次のとおり記載されていました。

「実務上、不動産を国庫に引き継ぐのは例外的であり、相続財産管理人が権限外行為許可審判を得て現金化(換価)した上、家庭裁判所に納入するという方法がとられています。この理由として、財務局において、国有不動産の管理に係る予算措置を講ずるのが困難であることや早期に売却しなければならないこと等の理由があり、家庭裁判所に対し、金銭による納入を望んでいるという背景があります(片岡武ほか『第2版 家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務』421頁(日本加除出版、平成26))」

(2)そのため、従来は、相続財産の中に境界の確定が困難な不動産や僅少な面積の不動産(財務局が引継ぎに慎重になる不動産)がある場合には、相続財産管理人としては、隣地所有者に買い取ってもらう等して、すみやかに処分するのが相当とされてきました。

(3)私も、相続財産管理人に選任された案件に関し、これまでは、不動産は全て処分のうえ、金銭を国庫帰属させてきました。

2 ところが、平成29年6月27日付で理財局から財務局に対してだされた「国庫帰属不動産に関する事務取扱について」と題する事務連絡では、「相続人不存在不動産」に関し、概要以下2点のとおりとされています。

(1)相続財産管理人から相続人不存在不動産に関する相談が財務局等になされた場合、必要に応じて、「清算に必要な弁済額以上の換価を行う必要がないこと等」の説明を行うこと。

(2)相続人不存在不動産の現地調査に関し、相続財産管理人が遠方である等やむを得ない理由により立会いをすることができない場合は、「相続財産管理人の立会いを省略しても差し支えない」こと。また「公図混乱地域等で現地の特定が困難な場合は現地調査を省略しても差し支えない」こと。

3 上記2の事務連絡は、同日付で、財務省理財局から最高裁判所事務総局家庭局にも参考書類として送付されています。

4 以上の点を踏まえて、先日、相続財産管理人に選任されている事案において、管理不動産に関する報告書を家庭裁判所に提出したところ、家庭裁判所より国庫帰属を財務事務所に打診されたい旨の指示がありました。

5(1)そこで、財務事務所に連絡をした結果、来週、国庫帰属に関する打合せを行う予定です。

(2)財務事務所との連絡の中で、事前協議段階における現地調査について、上記2(2)のとおり現地調査の省略が可能であることに関するやりとりもありました。

6 本件については、家庭裁判所も国庫帰属の実際の運用状況に関心を持たれているとのことですので、今後の状況を適宜報告していく予定です。

投稿者: 北薗法律事務所